この記事では冬季に多い「ヒートショック」について概説とその対策をお伝えします。
新年あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。寒い季節が続いておりますが、健康に気をつけて過ごすことを新年の目標にされている方も多いのではないでしょうか。今回は特に冬に注意したい「ヒートショック」についてお話しします。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担をかける状態のことを指します。特に寒い季節の入浴中やトイレなど、寒暖差が激しい環境で起こりやすい健康リスクです。高齢者の浴槽内での死亡者は交通事故死者の約2倍 (消費者庁「無理せず対策 高齢者の不慮の事故」(令和4年12月) ) と言われており、特に高齢者や糖尿病、高血圧、動脈硬化などの基礎疾患がある方は注意が必要です。
身近にありうるヒートショックのリスク
皆さんのご近所など身近でもどなたかが風呂場で亡くなったという話をお聞きになったことがあるかもしれません。私自身は10年前の2015年に父(享年74歳)をヒートショックで亡くしました。父は血圧こそ少し高めでしたが、定年退職後も元気で活動的でした。寒い1月の朝、入浴中に心肺停止となり、救急搬送されましたが助かりませんでした。この経験から寒暖差が体に及ぼす影響の大きさを実感して、外来で注意喚起してきました。また、昨年12月には私と同世代の元アイドル歌手の急死が報道され、多くの方が驚かれたと思います。解剖も経て入浴中の不慮の事故によるものと判断されたそうですが、このような事故を防ぐためにも、日常生活の中で対策をしっかりと行うことが重要です。
ヒートショックを予防するポイント
以下に気をつけて過ごしましょう:
- 室内温度を一定に保つ
- 浴室や脱衣所に暖房を設置し、寒暖差を減らします。
- 湯温を40℃以下に設定する
- 熱すぎるお湯は血圧の変動を招きやすいため、適温を心がけましょう。
- 体を慣らしてから湯船に入る
- 足元からシャワーをかけるなど、徐々に体を温めます。
- 入浴時間を30分以内にする
- 長時間の入浴は身体への負担が大きくなります。
- 日々の血圧管理を徹底する
- 定期的に血圧を測定し、自身の体調を把握しましょう。
- 当院での高血圧の治療方針はこちら
簡単にまとめると、急激な温度変化を避ける行動が身を守ります。ご家族に声をかけてからの入浴も安全対策になります。血圧治療を受けておられる方は、夏季と比較して血圧が明らかに上昇傾向なら面倒がらず追加の投薬も考えましょう。夏季と冬季で投薬量を調整しておられる方は比較的多くおられますし、また下がってくれば減薬できます。
参考情報
以下のリンクもぜひ参考にしてください:
- 京都府のヒートショック予報 – tenki.jp ※ 地域ごとのヒートショックのリスク予報が確認できます。
- 政府広報オンライン – 入浴中の事故を防ぐために ※ 政府が提供する入浴中の事故予防に関する情報です。
まとめ
寒い季節は自分の身体を守ることを意識して、安全に過ごしましょう。当院では血圧管理や冬場の健康相談も受け付けていますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。今年も皆さまの健康をサポートしてまいります。
ご不明点やご質問があれば、ぜひご来院いただければと思います。一緒に健康的な一年を目指しましょう!