予防接種について
ヒトの免疫のしくみを利用し、細菌やウイルスなどの病原体からつくったワクチン、またはmRNAなどを利用したまったく新しい技術で開発されたワクチンを接種することにより、「特定の病気にかかりにくくなる」、「かかったとしても症状が軽くてすむ」といった効果が得られます。さまざまな感染症を予防するため、適切な時期に予防接種を受けるようにしましょう。
- 海外長期出張や留学などのご参考に：
当院で受けられる主な予防接種
その他すべての予防接種に対応できるわけではありませんが、 必要なワクチンがありましたら、お問い合わせ下さい。
インフルエンザワクチン
あらかじめインフルエンザの予防接種を受けておくことにより、インフルエンザ発症を予防したり、かかっても軽症ですむ効果があります。成人の場合、1回の接種によって2週間後から血液中の抗体が増え始め、約4週間後にピークに達し、その後3～5か月は効果が続くとされています。
インフルエンザウイルスは毎シーズンのように変異するため、次のシーズンは、また新たに開発されたワクチン接種を受ける必要があります。
こちらの説明もご覧下さい。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチンは、肺炎のみならず、侵襲性肺炎球菌感染症などの深刻な疾患を予防する効果も認められています。事前にワクチン接種を受けておくことにより、肺炎のリスクを軽減でき、重症化を防ぐことができます。
特に、養護老人ホームや長期療養施設などに居住されている方、慢性の持病（呼吸器疾患、糖尿病、慢性心不全、慢性肝炎、肝硬変など）をお持ちの方は、成人用肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。
接種は1年を通していつでも可能です。ただし、接種間隔が5年より短くなると、接種部位の痛みや腫れなどの副反応が強く出ることがあるため、5年以上の接種間隔をあける必要があります。成人用肺炎球菌ワクチンを接種すると、通常は接種日を記載したカードやシールが発行されますので、このカードを参考にし、次回の接種時期をお決めください。
令和6年度より高齢者定期接種制度が変わっています。ご注意下さい。
- 詳しくは各自治体の案内をご覧下さい。
- 城陽市「肺炎球菌ワクチン予防接種のお知らせ」
新型コロナウイルスワクチン
もともとコロナウイルスというのは「かぜ（風邪）」の原因となるウイルスで、過去世界的に問題となったSARS（重症急性呼吸器症候群）やMARS（中東呼吸器症候群）も含まれます。新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）は2019年12月から全世界的に流行し初期には多数の死者が出た「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）」の原因ウイルスです。
新型コロナウイルスワクチンについて
- 新型コロナワクチンの全額公費による接種は令和6年（2024年）3月31日で終了しました。
- 令和6年度秋冬に、自治体による定期接種が始まる予定です。
- ＜対象＞ ・65歳以上の方・60～64歳で対象となる方（※）
- （※）心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス（HIV）による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
- ＜費用＞ 原則有料
- 詳細がわかればお知らせいたします。定期接種に該当しない方の接種は自費での任意接種となります。
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹は水ぼうそうのウイルス（水痘帯状疱疹ウイルス）が原因で発症します。このウイルスは水ぼうそうの皮膚症状が治まっても体外へ排出されることはなく、体内の神経節に潜伏し続けています。その後、加齢あるいは過労などによって免疫力が低下すると水痘帯状疱疹ウイルスは活性化していき、体の左右どちらか片側の神経に沿って疼痛などがみられ、数日後に赤い発疹も現れるようになります。皮膚症状に関しては通常3週間程度で治まりますが、人によっては、後々に帯状疱疹後神経痛（PHN）と診断されるような痛みが持続する方がおられ、治療に難渋する場合もあります。
このようなリスクをできるだけ避けるため、任意接種で50歳以上の方を対象に2種類のワクチン (ビケン、シングリックス) がありますので、どちらかを選択していいただきます。予防接種の目的である発症・重症化予防や帯状疱疹後神経痛の症状軽減を最大限考慮するなら、シングリックスをお勧めしますが、接種回数と価格に注意が必要です。
ビケンは、水痘（水ぼうそう）ウイルス毒性を弱めた生ワクチンです。接種回数は1回(￥8,800円税込)で、持続有効期間は5年程度、有効性は50-60%程度とご説明していますが、50歳台では70%近いものの60歳台で64%、70歳台ではぎりぎり40%台で差があります。副反応については、注射部位に腫れや痛みが数日みられる程度と言われています。生ワクチンですので、免疫機能異常の疾患または免疫抑制をきたす治療を受けている患者さんには接種できない場合があります。
一方のシングリックスは不活化ワクチンで、接種間隔を2ヵ月空けて合計2回(￥22,000円税込×2回)の接種となります。費用は高額ですが、50歳以上の方で約97％、70歳以上の方でも約90%の発症予防効果があるといわれています。持続有効期間は10年が確認されました。また副反応に関してですが、注射部位の腫れや痛みが生ワクチンよりも強く出るということがあります。ただ数日程度で、これら症状は弱まっていきます。
- 各メーカーの情報提供サイトはこちら：
RSウイルスワクチン
RSウイルスは、一般的には乳幼児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして知られており、高齢者や基礎疾患のある成人においても肺炎など呼吸器感染症の原因となります。生涯にわたって何度も感染と発症を繰り返すとされており、日本では毎年60歳以上の成人でRSウイルス感染症によって年間63,000人の入院と4,500人の院内死亡があると推定されています。現段階ではRSウィルスに対して、直接治療効果のある抗ウイルス薬はありません。本邦初のRSウイルスワクチンは2023年9月、60歳以上を対象にRSウイルスによる感染症の予防を効能または効果として承認され、当院でも受けていただくことができます。
- こちらもご参照下さい。
B型肝炎ワクチン
ウイルス性肝炎のうちB型肝炎はワクチン接種によって予防することが出来ます。血液や性行為から感染して急性肝炎を経てウイルスが潜伏してしまい、慢性肝炎で目立った自覚症状がないまま長期間経過した後、肝硬変や肝細胞癌を合併した状態で発見されることもあります。2016年（平成28年）10月から乳幼児の定期接種に加えられましたが、大人の場合は自費の任意接種になりますが、海外長期出張や留学などの渡航時や医療従事者の感染予防などで接種を検討される機会があります。業務上接種が必要な場合は勤務先などが助成されることもありますのでご確認下さい。
- こちらもご参照下さい。
破傷風ワクチン
破傷風とは、土壌中に広く存在する破傷風菌（Clostridium
tetani）が傷口から体内に侵入して、その神経毒素（tetanospasmin）による神経系症状から死亡する可能性の高い疾患です。口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。
大人の場合には、ケガのリスクの高い労働環境の方、感染が心配される外傷を負った方にお勧めいたします。特に1968年以前に生まれた方は、過去に定期接種での破傷風ワクチン接種のない世代の方ですのでご注意下さい。また小児期に何らかの理由で破傷風を含む混合ワクチン接種ができていない方も対象になります。
- 破傷風トキソイド接種スケジュール：
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- 初回、3～8週間後の2回接種で4週間後に免疫を獲得できます。
- 感染防御効果を持続するために、さらに6～12か月 もしくは18か月（1年半）後に3回目接種を行います。
- 3回接種後の抗体の持続期間はおよそ10年と言われています。
上記以外のワクチン接種を希望される方は、当クリニックにお問い合わせください。
